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『現代オカルトの根源
──霊性進化論の光と闇


2013年7月10日、ちくま新書1022として刊行


■紹介文

ヨハネ黙示録やマヤ暦に基づく終末予言、テレパシーや空中浮揚といった超能力、UFOに乗った宇宙人の来訪、レムリアやアトランティスをめぐる超古代史、爬虫類人陰謀論──。多様な奇想によって社会を驚かせる、現代のオカルティズム。その背景には、新たな人種の創出を目指す「霊性進化論」という思想体系が潜んでいた。ロシアの霊媒ブラヴァツキー夫人に始まる神智学の潮流から、米英のニューエイジを経て、オウム真理教と〈幸福の科学〉まで、現代オカルトの諸相を通覧する。

■目次
はじめに 7

  オウム真理教の最終目的とは
  ハルマゲドンと救済
  霊性の進化と退化
  神人か獣人か

第一章 神智学の展開 21

 1 神智学の秘密教義──ブラヴァツキー夫人 22
  ブラヴァツキーの経歴①──放浪生活から神智学協会の結成まで
  ブラヴァツキーの経歴②──インド文化との接触
  神智学の折衷的教義
  アメリカ社会の状況
  進化論と心霊主義の結合
  『シークレット・ドクトリンの』宇宙論
  七つの根幹人種の歴史
  霊的進化と物質的進化の交錯
  霊性進化論の中心的要素

 2 大師のハイアラーキー──チャールズ・リードビーター 48
  リードビーターの経歴①──インドでの修行
  リードビーターの経歴②──クリシュナムルティとの邂逅
  瞑想やヨーガによる霊能力開発
  イニシエーションとハイアラーキー
  「東方の星教団」の崩壊

 3 キリストとアーリマンの相克──ルドルフ・シュタイナー 63
  シュタイナーの経歴①──前半生の思想遍歴
  シュタイナーの経歴②──神智学から人智学へ
  宇宙の多層構造に基づく霊性進化
  ルシファー・キリスト・アーリマン
  近代におけるアーリマンの暗躍

 4 神人としてのアーリア人種──アリオゾフィ 79
  アーリアン学説と神智学
  リストのゲルマン崇拝
  秘教アルマニスムス
  ランツの神聖動物学
  『神智学とアッシリアの獣人』
  新テンプル騎士団
  ゲルマン主義結社からナチスへ
  ユダヤ陰謀論の蔓延
  『二十世紀の神話』と親衛隊
  神々と獣たち

第二章 米英のポップ・オカルティズム 105

 1 輪廻転生と超古代史──エドガー・ケイシー 107
  ケイシーの経歴①──催眠時人格の出現
  ケイシーの経歴②──前世の解読
  ポピュラー化するケイシー思想
  ライフ・リーディングのメカニズム
  アトランティス滅亡の物語
  現代文明の岐路

 2 UFOと宇宙の哲学──ジョージ・アダムスキー 122
  アダムスキーの経歴①──UFO以前
  アダムスキーの経歴②──円盤に乗った金星人との邂逅
  「王立チベット教団」の教え
  スペース・ブラザーズと宇宙哲学
  地球は「罪人の追放場所」
  サイレンス・グループの暗躍

 3 マヤ暦が示す二〇一二年の終末──ホゼ・アグエイアス 139
  アグエイアスの経歴①──古代文明への憧憬
  アグエイアスの経歴②──思想遍歴の時代
  アグエイアスの経歴③──パカル・ヴォタンとの交信
  銀河的マヤの探究
  五一二五年周期と一三のバクトゥン
  二〇一二年の終末
  「ハーモニック・コンバージェンス」の儀式
  偽りの時間による奴隷化

 4 爬虫類人陰謀論──デーヴィッド・アイク 160
  アイクの経歴①──サッカー選手から緑の党へ
  アイクの経歴②──ニューエイジと陰謀論
  レプティリアンによる人類家畜化
  『議定書』の新解釈
  人間の潜在エネルギー
  ユダヤ陰謀論からアーリア陰謀論へ
  戦後のオカルティズムからの影響
  被害妄想の結晶化
第三章 日本の新宗教 179

 1 日本シャンバラ化計画──オウム真理教 181
  三浦関造の竜王会
  本山博の超心理学
  桐山靖雄の阿含宗
  神仙民族とシャンバラ
  教義と教団の拡充
  社会との対立と終末論の昂進
  陰謀論への推移
  奇妙な戦争

 2 九次元霊エル・カンターレの降臨──幸福の科学 206
  浅野和三郎の心霊主義
  高橋信次の霊体験
  GLAの世界観
  アメリカの新宗教からの影響
  エル・ランティーを自称する高橋信次
  立宗までの経緯
  エル・カンターレ崇拝の確立
  『太陽の法』の宇宙論
  諸文明の変遷
  神智学との共通性
  神霊政治学とユートピア建設
  悪魔論の発展

おわりに 239

主要参考資料一覧 246

■ブックフェア

 宗教や思想について再考するための30冊(リブロ池袋本店・2013年7月16~)