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10.06.24 苫米地英人の成功哲学
●ニコニコ動画で、脳機能学者の苫米地英人と、参議院議員の藤末健三の対談を見る。 http://bit.ly/9tAFWV テンションの高い、熱のこもった対談。前半の通信法制をめぐる具体的な議論は興味深く、肯かされる点も多いが、徐々に話は怪しげな方向に向かってゆく。

●以前にこのツイッターで、政治家や企業経営者が「成功哲学」というオカルト思想に感染しやすいと述べたことがあるが、この二人がたどり着くのも、典型的な成功哲学。成功哲学は、アメリカのニューエイジ思想に端を発し、世界的に流行した後に衰退したが、このような形でいまだに残存している。

●その世界観の前提となるのは、精神的次元と物質的次元が究極的には一致するというもの。そこから、科学と宗教はいずれ一つになる、あるいは、意志の力によって現実を変えられる、という主張が出てくる。

●精神的次元と物質的次元が相互にどのような関係にあるのかということは、理系と文系を問わず、おそらくすべての研究者が直接・間接に関わっている問題である。そして、この問題について一つの典型的な見解を示したのが、哲学者のカントであると思われる。

●カントは、精神的次元(実践理性の領域)と物質的次元(理論理性の領域)は、多様な仕方で相互干渉しながらも、究極的には重なり合わないという二元論を説いた。私を含め近代の学者たちは、カントの前提を踏まえた上で、その二領域が相互にどのような関係を持つかを研究している(はず)。

●ところが、慎重さを欠く一部の研究者は、自身のきわめて狭隘な知見や経験から、「精神と物質は同じだ!」「意志の力によって世界は変えられる!」という、安直な結論に飛びつく。そして、いつかは自分の意志の通りに世界を変えることができるはずだという、甘美でパラノイア的な幻想に耽溺する。

●この対談を見ると、成功哲学がどのような仕方でリアリティを獲得するのかを実感することができる。また、市民に求められているのは、政治家を個々の政策レベルで判断すると同時に、各政治家が奥底で抱えている世界観や幻想のレベルでも判断することであると感じた。難しいことだが・・・。