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10.08.19 第二次世界大戦と日蓮主義
▼数日前の八月十五日は終戦記念日だった。六五年目の節目ということもあり、テレビやラジオでは第二次大戦について特集した番組が多く放送され、私もいくつか視聴した。テレ東の池上彰氏の番組や、TBSのDIGで行われた加藤陽子先生出演の番組など。 http://bit.ly/c2Updu

▼どの番組も知らないことを多々教えられて興味深かったが、一つ気になる点があった。先ほどの二つの番組では、一九四一年に始まった太平洋戦争が突然勃発 したものではなく、その原因は一九三一年の満州事変まで遡れることが強調されていたが、なぜそれが起こったのかという理由には触れられなかった。

▼満州事変の首謀者の一人に、石原莞爾という軍人がおり、彼は田中智学が創始した日蓮主義運動の熱心な信奉者だった。石原は東北の出身であり、日本の農村が荒廃していることを問題視するとともに、日蓮主義的なユートピア思想から、満州に「王道楽土」を作りたいという夢を持っていた。

▼石原莞爾には「最終戦争論」という有名な講演録があるが、私はそれを読んで、軍人ならではのリアリスティックな視点と、日蓮主義に由来するきわめて幻想的な思考が、彼のなかで混在していることを知り、衝撃を覚えたことがある。こういう人間が軍隊のトップに立ち、満州事変を引き起こしたのか、と。

▼寺内大吉の『化城の昭和史』を読むと、 http://bit.ly/c8oSJM 日本が戦争に踏み込む過程で、日蓮主義の影が見え隠れしていることが分かる。日蓮主義の問題はもっと認知されるべきだと私は思うが、こうした宗教関係の事柄は大手のメディアで論じるのは難しいのだろうか。
10.08.19 第二次世界大戦と日蓮主義