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10.08.24 ナチスの「生命の泉」 |
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■皆川博子の小説『死の泉』を読了。物語的にはいささか焦点が絞り切れていないとも感じたが、十分な読み応えのある力作だった。何より、日本ではほとんど認知されていない、ナチスの「レーベンスボルン」(ドイツ語で「生命の泉」)という組織について主題化しているという点だけでも価値がある。 ■ナチスがユダヤ人を「劣等民族」として捉え、その絶滅を企てていたことはよく知られているが、それは事実の反面でしかない。ナチスが企図していたのは、「劣等民族」のユダヤ人を絶滅させること、そして「優良民族」である北方アーリア民族を増殖させることであった。 ■ユダヤ人絶滅のために強制収容所が作られたのと対極的に、アーリア人増殖のためにも収容所が設けられた。それがレーベンスボルンである。そこではドイツの未婚女性の出産が奨励・保護されるとともに、各占領地域から拉致された、優良民族の身体的特徴を示す子供たちに対する「教育」が行われた。 ■日本のウィキペディアにも一通りの説明があるが、 http://bit.ly/1JHuMo かなり恣意的と言わざるをえない記述になっている。日本語に訳された本では『ナチスドイツ支配民族創出計画』があり、そこにはレーベンスボルンで育った子供たちの数奇な運命が記されている。 |
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