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『オウム真理教の精神史──ロマン主義・全体主義・原理主義』 2011年3月20日、春秋社より刊行 2023年1月17日、春秋社より増補版刊行 |
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■帯文 近代の暗黒面を暴く 「最終解脱者」なる人物を教祖に掲げ、超人類によるユートピア国家の樹立を目論み、ハルマゲドン誘発のため生物化学兵器テロに踏み切ったオウム真理教。その幻想は何処に由来し、何故にリアルなものとなりえたのか。オウムを現出した宗教・哲学・政治思想の流れを精査するとき、我々は近代の内奥にひそむ漆黒の闇に直面して戦慄する。気鋭の宗教学者渾身の現代宗教論! 「天地創造は終わっていない。少なくとも人間という生物に関するかぎり終わっていない。人間は超克されねばならぬものである。人間が神になる。人間は生成途上の神である。人間は自己の限界を乗り越えるべく、永遠に努力しなければならない。立ちどまり閉じこもれば、衰退して、人間の限界下に落ちてしまう。半獣となる。神々と獣たち。世界の前途は今日、そのようなものとしてわれわれの行く手にあるのだ。」 ――アドルフ・ヒトラー(第3章より) |
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■目次 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
序章 3 一九九五年を振り返って オウムに関する元信者の著作 オウムに関するジャーナリストの著作 オウムに関する学問的著作 近代宗教としてのオウムについて考えるために 第1章 近代における「宗教」の位置 25 1.そもそも「宗教」とは何か 26 「つながり」を生きる人間 虚構の人格──宗教の変遷 2.キリスト教共同体の成立と崩壊 32 「キリストの身体」の分有 教皇主権から宗教改革へ 3.近代の主権国家と政教分離 36 王権神授説から社会契約論へ ホッブズの『リヴァイアサン』 ルソーの『社会契約論』 国家主権と政教分離──いくつかの問題点 第2章 ロマン主義──闇に潜む「本当のわたし」 47 1.ロマン主義とは何か 48 啓蒙主義──近代思想の二つの潮流(1) ロマン主義──近代思想の二つの潮流(2) 社会の巨大化・流動化・複雑化 2.ロマン主義の宗教論 55 シュライアマハーの『宗教論』 『宗教論』とオウムの教義の共通性 3.宗教心理学 63 ジェイムズの『宗教的経験の諸相』 ユングによる「自己」の心理学 4.神智学 72 ブラヴァツキー夫人と神智学 神智学の宇宙論・身体論・転生論 不死の超人 5.ニューエイジ思想 81 ニューエイジ思想とは何か トランスパーソナル心理学 ドラッグ神秘主義 インドの導師たち 6.日本の精神世界論におけるヨーガと密教 98 本山博の超心理学 桐山靖雄の阿含宗 中沢新一のチベット密教研究 第3章 全体主義──超人とユートピア 111 1.全体主義とは何か 113 アーレントの『全体主義の起原』 全体主義的体制の特色 2.カリスマについての諸理論 120 メスメリズム ニーチェの超人思想 ウェーバーのカリスマ論 群衆心理学 精神分析のパラノイア論 カリスマと群衆の交感 3.ナチズムの世界観 140 ヒトラーの『わが闘争』 ユダヤ=フリーメーソン陰謀論──『シオンの賢者の議定書』 アーリア人種論──人間とは生成途上の神である 強制収容所と「生命の泉」 4.洗脳の楽園 157 グルジェフの「ワーク」 ヤマギシ会の農業ユートピア 孤独に耐えるか、全体に没入するか |
第4章 原理主義──終末への恐怖と欲望 169 1.原理主義とは何か 170 「原理主義」概念の起源とその一般化 近代に原理主義が興隆する理由 2.アメリカのキリスト教原理主義 176 ハル・リンゼイの『今は亡き大いなる地球』 ブランチ・ダビディアン 3.日本のキリスト教原理主義 182 中田重治の日ユ同祖論 酒井勝軍と竹内文書 宇野正美のユダヤ陰謀論 武田崇元の霊学的終末論 4.ノストラダムスの終末論 196 五島勉の『ノストラダムスの大予言』 川尻徹の『滅亡のシナリオ』 第5章 オウム真理教の軌跡 207 1.教団の設立まで 208 松本智津夫の生い立ち──あらかじめ奪われた光 宗教遍歴の時期 2.初期のオウム教団 213 『トワイライトゾーン』のインタビュー 神仙民族とヒヒイロカネ 『超能力「秘密の開発法」』 『生死を超える』 3.オウム真理教の成立と拡大 222 オウム真理教への改称 『イニシエーション』 日本シャンバラ化計画 どのような人がオウムに入信したか 出家修行の実態 4.「ヴァジラヤーナ」の開始 238 真島事件と田口修二殺害事件 終末論の進化 坂本弁護士一家殺害事件 5.国家との抗争 254 衆院選の敗北 ボツリヌス菌散布計画と石垣島セミナー シャンバラ国の建設──波野村と上九一色村 ロシア進出と本格的武装化 「洗脳」と「脱洗脳」の相克 省庁制と真理国基本律 サリンの開発と散布 11月→戦争 6.オウムとは何だったのか 275 「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ」 日本の問題 おわりに 282 12年後の追記――オウム事件を再考するための三つの視点 285 (*増補版のみ掲載) 主要参考文献 索引 |
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■書評 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
立花隆氏『週刊文春』2011年4月21日号 池田雄一氏『中国新聞』2011年4月17日号(共同通信配信) 井上章一氏『日本経済新聞(夕刊)』2011年6月15日号 櫻井義秀氏『週刊読書人』2011年7月8日号 |
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■修正箇所一覧 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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